絵、音楽

良かった音楽15選 / 22年1月-3月

ほとんど備忘録的なものに過ぎないチラ裏メモをもう気付けば結構長いことやってて、最近ようやく気付いたんですが半期でまとめてるとどうしても下半期のメモに取りこぼしがあるんですよね。何故なら年末はなにかとごちゃごちゃ大抵バタバタ(なるまるまーる)でその年の総括に取り掛かるので手一杯なので。

あじゃあ、四半期でやってみるかと。少なくとも僕の眼に今の音楽はこう映ってますよというのを。色々なアレとは裏腹に超内向的な僕ですが、でもそれが故に日々ものすごく色んな創作を摂取して、せめて僕自身は信じてあげたい僕が全面的に信用している僕の審美眼を、僕は持っているので。その足跡はなんとなく残してみたい。

あと、たまにはちゃんと恒常的に音楽聴いてますよアピールしとかないとね、僕の場合、生きてるか心配されちゃうので。

 

そういう訳で2022年1月-3月の良かった音楽15選です。

春m3直前で引越し直後で全然暇ではないので手短に。ならなかったね。。。音楽がね、好きやねん。。。。

 

 

じん『FREAKS』

https://www.youtube.com/watch?v=l0BkY36DPEo

作詞・作曲・編曲:じん

暫定今年のベスト。

"じん"としての1st『アレゴリーズ』収録曲で、初回限定盤Aの特典ディスクとして所謂バーチャル・シンガーver.が幾つか用意されてまして、5曲中4曲は可不が歌ってるんだけどこれだけ初音ミク。しかもラストトラック。どう考えても特別な意味を感じずにはいられないですよね。

同アルバムは昨年リリースの名曲『後日譚』『消えろ』をはじめとして感傷に振り切った曲が多い中この曲は『如月アテンション』の系譜を感じさせるアッパーポップで、もうイントロ2秒のギターとエレピで勝利が確定してしまう。それに手癖まみれの歌詞とメロディが淀み無く繋がっていって、でも手癖まみれだからこそ、初音ミクとじんが生きてきた証があまりに鮮烈に響く。そういう人間賛歌です。

 

花澤香菜『Don't Know Why』

https://www.youtube.com/watch?v=C6Sp3DF0T6s

作詞:北川勝利・藤村鼓乃美
作曲:北川勝利
編曲:acane_madder・北川勝利

6th『blossom』収録。80年代ニューウェイブを彷彿とさせる『Don't Know Why』、ミドルテンポROUND TABLE路線でありながらも『magical mode』から意識されている中国展開を踏まえてアジアンなつくりになっている『Moonlight Magic』、ポルカドットスティングレイの音楽性が全面に押し出された『SHINOBI-NAI』など様々なベクトルが詰まっていてとても良いアルバムです。

でまあ、この曲が特に何から何まで優れていて本当にすごい。タイアップの無い花澤香菜音楽と言えば北川勝利なだけあってもう随分長いこと一緒にやってきてる訳で、花澤香菜の歌声以外絶対に考えられない。譜割りも歌詞もメロディも編曲もぜんぶ流麗すぎて怖い。。。いや、これがいつものポスト渋谷系ならまあそれはそうという感じなんだけど、全然急にニューウェイブリバイバルやってこの完成度なのマジで怖い

 

カシ・オトハ『Escape』

https://www.youtube.com/watch?v=7fgeS5CcjME

作詞:牛肉
作曲:長尾洋輔
編曲:ハヤシべトモノリ

VERSEⁿ所属のVTuberのオリジナル曲。キャラデに堀口悠紀子赤坂アカ、raemzらを迎えてる辺りでもう既に完全にイカれてるんですが、ソニー・ミュージックレーベルズなので音楽面も惜しみなくやりすぎちゃってます。

このカシ・オトハという子は普段から弾き語り配信をメインに据えているくらい音楽に特化していて、めちゃめちゃ綺麗で透き通った声にポスト渋谷系ネオ渋谷系文脈が突然ぶち込まれておれは頭がおかしくなってしまった。。。間奏で唐突にスパソが主張してくる感じが最近のハヤシベトモノリっぽくてとても良い。

オザケンのツアーも楽しみだけど、今年の渋谷系語るならとりあえずこれ聴いとかないと何も始まんないと思います。

 

田所あずさ『箱庭の幸福』

https://www.youtube.com/watch?v=8xronI95g38

作詞:大木貢祐
作曲・編曲:神田ジョン

2022冬アニソン個人的ベストはダントツでこれでした。

とにかく神田ジョンによる作編曲部分の完成度が異常で、田所あずさの歌唱力も上がりすぎててやばい。初めて聴いた神田ジョンの曲はアサルトリリィの『Heart+Heart』で、いち作家として明確に意識したのはその少し後なんだけど、その頃はあー言われてみれば堀江晶太譲りの青春青春した作編曲で良いなあくらいの感じだったんですが『きゃんとすとっぷ・ふるーてぃー』辺りから制作ペースの速さとクオリティの安定感がバグってることに気付きはじめ、そこへ急に全然アニソン文脈っぽくないエレクトロニカ的アプローチを詰め込んだバラードを提示されてあーはいはい完全にヤバい人ねこの人という感じ。

この曲があまり知られてないのは本当に勿体ない。田所あずさも『So What?』の頃は割と張り上げて高音出すイメージが強かったのに(まああれは田淵智也堀江晶太がそういう曲を提供したというのもあるけど)裏声が本当に綺麗になってる。

 

Limonène『ヨミビトシラズ』

https://www.youtube.com/watch?v=vEhZzJM-8DM

作詞・作曲・編曲・総監督:サノカモメ

Limonèneの集大成は1stの『Evergreen』で既に成っている気がしていて(本当に恐ろしいことなのですが)、その先にあるkamome sanoの集大成のような作品。『線香花火』であったり、『#00A9EF』であったり、『archive::zip』であったり。文学的で文化的な歌詞とメロディにカモメサノエレクトリックオーケストラ路線の編曲が乗るとこうなるのか、という。

何より特筆すべきは歌詞です。取り急ぎ手短に表すなら、"歌詞のテキストを見ただけではどこがAメロでBメロでサビなのかさっぱり分からない"というのが最大の魅力であり最奥の技巧であるように思う。まず感傷的な散文詩の羅列をひたすら浴びせられるのが気持ち良いという感覚があって、次に物語に触れて核となるメッセージに気付く瞬間が来る(と同時に、時間が止まる)。最後に巧みな韻の踏み方で音楽全体がきちんとポップスとして成り立っていることを理解する。

そしてやっぱり、ボーカルは月島春果じゃないといけない。月島春果(みかん汁)は、すごく歌唱力が高いという訳ではないと思うんだけど、眩しいくらいに人間らしくて情感に強く訴えかけてくる歌声を持っていると思うんです。

 

Mrs. GREEN APPLE『ニュー・マイ・ノーマル』

https://www.youtube.com/watch?v=E7YAf0O02Ms

作詞・作曲:大森元貴
編曲:Mrs. GREEN APPLE・山下洋介

今回の15選に邦ロック文脈って全然無くて、というのも直近1年ずっとしっくりきてないんです。アルバム単位で良かったなと思えたのはパスピエとPK shampooくらいで、シーンとしてはなんとなくみんな前進しあぐねているような感じがある。今思えばテン年代は自由に満ちていた。ゼロ年代の「みんなアゲてこ~!」的な流行も今の「みんなしんどいよね」的な流行も無くて。

ここでミセスが約2年ぶりに活動再開。いや、こいつ誰?大森元貴?これ大森元貴か?というくらいに変わり果てたビジュアルで鮮烈な登場を飾ったのはまあ置いといて、ほんと自由で希望のある曲を引っ提げてきた。いつものミセスと言ってしまえばそれまでなんだけど、それはもしかしたら活動休止中にシーン全体を見渡してテン年代の感覚を大事にしておいたということかもしれない。

 

白坂小梅 (CV: 桜咲千依), 久川凪 (CV: 立花日菜), 関裕美 (CV: 会沢紗弥), 森久保乃々 (CV: 高橋花林) & 椎名法子 (CV: 都丸ちよ)『かぼちゃ姫』

https://www.youtube.com/watch?v=KWBQJx9rjFE

作詞・作曲・編曲:ササキトモコ

昨年のデレステ内での実装時から話題を呼んでいた、ササキトモコワールド全開な一曲。フルがこないだリリースされました。

たぶんササキトモコが提供したデレマス関連曲の中で最もササキトモコ濃度が高い。いまだにセラニポージを聴きまくっている僕が言うのだから間違いないと思います。そして驚いたのがなーちゃんの声との親和性の高さ。ササキトモコ濃度を極限まで高めるとメルヘン世界になるので、可愛いだけじゃないどことなく超然的な声が合うのは必然と言えたのですがまさかここまでとは。

フルの構成がまたすごくて、「そこで運命の二人は出会うの」のコードの解決がめちゃめちゃ好きなんだけどここに森久保のパート充てたの天才。

 

やなぎなぎ『White Spell』

https://www.youtube.com/watch?v=wR7Txo3Vmh0

作詞・作曲:麻枝准
編曲:MANYO

まあこれを2020年の曲という訳にはいかんだろうということで。満を持して今年稼働開始した『Heaven Burns Red』メインストーリー第2章の曲です。

ヘブバンが本当に良いゲームで毎日めちゃめちゃやっててAIR,Kanon,CLANNAD,リトバス,AB,Charlotte,神様になった日と全部しっかり摂取しておいて本当に良かったという話は別の機会にするかもしれないししないかもしれないけど、とりあえず一言だけはっきり言える客観的事実があって、今の麻枝准かなーーり筆乗ってますよ。

『星の墓標』『Before I Rise』『Dance! Dance! Dance!』『White Spell』でかなり悩むんだけどいま一番好きなのは『White Spell』ということでここはひとつ。。。一番麻枝准らしさがコンパクトに詰まってて曲としてのすわりが良くて、感傷的でありつつもかなり繰り返し聴きやすい。いや、ここで挙げた4曲は全部めちゃめちゃ良いですよほんとに。そのくらい今の麻枝准やばいです。

 

kZm × 佐藤千亜妃今夜はブギー・バック nice vocal × 水星』

https://www.youtube.com/watch?v=2pkNQuYgigw

作詞・作曲・編曲:(ブギーバックと水星なんてみんな原曲知ってるので略)

きのこ帝国が好きなのでこっち。

今夜はブギー・バック』も『水星』もあまりにも有名すぎるしこれまでも散々有名アーティストにカバーされてきた2曲だし、今更特段語ることもないのですが、強いて言えばこの色褪せない2つの名曲をミックスして凄まじいカロリーのCM作って再ブレイクさせてくれてありがとうという気持ち。

youtubeの再生数もすごいし有線とかで散々流れてるのでいまの中高生にも届いていることでしょう。時代性にマッチしてるし。良い音楽が連綿と受け継がれていく瞬間を目撃できたのはありがたいです。水星は普通にリアタイ世代だけど(高校時代の俺は校内に数多いるロキノン厨でありながらも既にかぶれてマルチネ文脈にがっつりリーチしていた)、今夜はブギー・バックは流石に二回りくらい世代が違うので。

 

羊文学『光るとき』

https://www.youtube.com/watch?v=qknDI1k39Ic

作詞・作曲:塩塚モエカ
編曲:羊文学

僕は平家物語FODの先行配信で全部見てるので去年末にも触れてるのですが、フルのリリースは今年なので。

羊文学の音楽は、なんというか淡々と人間たちのありのままの今を歌うのでフル尺になって凄まじい曲展開が聴けるとかそういうのはたぶんないんだけど、だからこそギターの余韻とか残響がより心に留まりやすくなる感じがある。オルタナだしね。

でもやっぱり山田尚子による演出があまりにも素晴らしすぎて、フルで音源聴いてると結局映像付きでアニメ尺の方も聴きたくなってしまうという。

 

名取さな『モンダイナイトリッパー!』

作詞・作曲・編曲:sasakure.UK

今年の名取さな誕生日ライブの限定CD『名取さなミュージックコレクション Vol.2』収録曲。Vol.1のシークレット枠には田中秀和がいましたが今回はsasakure.UKらが名を連ねました。

昨年のスマッシュヒットである『トンデモワンダーズ』をアップデートして名取のキャラクター性に寄せたような一曲。トンデモワンダーズのメッセージ性はいささか難解すぎる部分があるので(去年の冬コミでセルフライナーノーツ本みたいなのが出てて、それ読んで初めてちゃんと理解した。ちなみに特典ディスクにmami歌唱の有形ランペイジver.が収録されててめちゃめちゃ良いのでオススメ)、こっちの方がシンプルで好きかもしれないです。

名取の声にもあってて、元気いっぱいで微笑ましい。

 

長瀬有花『オレンジスケール』

https://www.youtube.com/watch?v=D9H--94-gxE

作詞・作曲・編曲:いよわ

1st『a look front』収録曲。長瀬有花の音楽は本当に面白い。いまインターネット音楽で最も注目すべきアーティストの一人だと思います。

この子最近コアな音楽好きの間で話題だな・・・?

→あー、グッバイ宣言、新宝島、オドループ、ふむふむ・・・。

→・・・ッ!?

→『チキンライス』『琥珀色の街、上海蟹の朝』『空耳ケーキ』!?しかも最初に投稿された歌ってみたが『放課後ディストラクション』・・・!?

明らかに只者じゃない。"だつりょく系"を謳う特徴的なハスキーボイスを持ってる、ここまでは本業シンガーじゃなくてもときどき出てくる才能だからまあ分かる、ただ、恐らく俺と同世代か少し下くらいだと仮定して、このラインナップは普段から異常な量のポップス聴いてるマジモンの音楽オタクじゃないと実現できないし再生数の伸びも期待できない。本当に音楽が好きなんだと思います。

本当に音楽が好きなシンガーには(運もあるので必ずとは言えないのが悲しいですが)得てして良い曲が集まってくる。『a look front』はそれを体現してくれたような気がします。『駆ける、止まる』『fake news』やアルバム未収録の『白昼避行』『ラヴベジ』も好きですが最近いよわにはまってるのでこれで。所謂「歌ってみろ」な初期いよわ音楽も好きですが最近の人間でも歌いやすい感じの路線も好きです。

 

アサルトリリィ Last Bullet『蕾の中の奇跡』

https://www.youtube.com/watch?v=fuvh671vKtk

作詞:安藤紗々
作曲・編曲:神田ジョン

アサルトリリィ Last Bulletというのはアサルトリリィプロジェクトに登場する一柳隊、ヘルヴォル、グラン・エプレの3レギオンによる全体歌唱用の名義みたいです。もうちょっと何か無かったのか?

『アサルトリリィ ふるーつ』の『きゃんとすとっぷ・ふるーてぃー』はドタバタ可愛い系のアニソンとしてお手本のような完璧な出来で去年のアニソンの中でもトップレベルに好きなんだけど、こっちはこっちでエモくて明るくてかっこいい系のアニソンとして完璧な出来だと思う。ラスバレの曲だから正確にはゲームの曲だけど。いや、もっと厳密に言えばラスバレの新章のテーマのカップリングだからフィギュアだの舞台だの含めた全体の曲・・・?

まあいいや。アサルトリリィというコンテンツは俊龍と神田ジョンの良い曲が無限に聴けるのでおすすめです。キャラみんな可愛いし。

 

兎田ぺこら『いいわけバニー』

作詞:岩見陸
作曲・編曲:ナナホシ管弦楽団

今だと、そうだな、『デリヘル呼んだら君が来た』の人でも『お願いダーリン』の人でもないのか、『シル・ヴ・プレジデント』の人として有名なナナホシ管弦楽団がね、何気にVTuberへの楽曲提供まだないよなーって話を去年何人かとした覚えがあるんですが(P丸様。が文脈的にかなり近い位置にいるんだけど意外とね)、ぺこーらに書いてくれました。非の打ちどころが無い明るく元気なポップス。

『ぺこらんだむぶれいん!』も『ぺこみこ大戦争!!』も大好きなのでぺこーら曲でどれが一番とかを決めるのは難しいんですが、これでオリ曲3曲目でアイドルとして多くのライブもこなしてきて、予てから本人の懸案事項だった「歌を歌うと急に余所行きの声になってしまう」というのは解消されてきてるように思えるのがシンプルに嬉しいね。

 

杏戸ゆげ『UGE CHAN MARCH』

https://www.youtube.com/watch?v=tgPK9TH76vE

作詞:TOPHAMHAT-KYO
作曲・編曲:DYES IWASAKI

ブイアパ所属のVTuberのオリジナル曲。

こんなこと言うと怒られるかも知れないけどなんとなくヒプマイ人気はピークを過ぎた感じがあって、今後オタク文脈でヒップホップが流行するのはまた随分先になるかなー、ウィスパーボイスでラップする感じのキャラソンも最近減ってきたし、と思ってた矢先にこの曲でした。

FAKE TYPE.がVに楽曲提供なんて考えたこともなかったけど、完全に良い曲としか言い様がない。グリッチホップな感じのトラックにユルい声が乗ってすごい中毒性がある。

 

 

以上ですね~