絵、音楽

良かった音楽15選 / 23年1月-3月

今回の雑記:まおーぬいつもありがとう

最近は専ら、なんというか歯切れの悪いことに、まあ某氏のTwitter2じゃないですけど似たようなことはやっぱり考えていて、要はけっこうDiscordに逃げがちです。それぞれの人間にそれぞれの居場所2(ツー)があって、それでよくない?みたいな。ただ、これを突き詰めちゃうといよいよ本当に「社会」と同じ構造──元始、そこにはクラスがあって、その中に気の合う連中がいて、その中ですら気が付いたら分派が起きてる、無神経な人間が「除け者作り」に今日も勤しんでいる、という下らないアレになっちゃうので、居場所2(ツー)を複数確保しておくのは当然の保身として、やっぱりTwitter(無印)はあってほしいですよね、インターネットが好きなので。あるいは、もしかしたらこの感覚って二度と戻れない「教室」への憧憬なのかもしれない。後ろの黒板の落書き、静かな教室に響くPSPの操作音、ときどき入り浸る他クラスの知らない奴らの喧噪、リノリウムの手触り。なんか似てるよね、インターネットと。

青沼プロデューサーによるゼルダ新作実況、皆さん見ましたか?声質が良いので普通に実況者向いてる気がする。こんなに楽しみなゲームを作ってくれていつもありがとうございます。最近謎にマリメ熱が高まっててときどきレート潜ってるんだけど、たぶんこれゼルダ発売まで毎日やればS+行けるペースです。

 

 

星街すいせい『Newton』

「否定したい」「信じたい」「嘘だよ」「そうだよ」「嫌いじゃない」「好きじゃない」「全部が」「一つが」「変わりたい」「解りたい」「どうしたい?」「どうしよう」「聞かせない」「聞かせて」。『RED』の作曲で『Inner Arts』の編曲をやっている感じがあり、そこへ幾重にも重なりあう、どうしようもなく僕らの間を渦巻く引力と斥力。流石に2023年ベスト。

 

クリープハイプ『凛と』

「演技をしているんだ あなただってきっとそうさ」の対を行く表現だと思ってます。僕らが生来強制的に与えられる「役」への真っ直ぐな眼差し。きっと誰も望んでなんていない「役立たず棒読みの/そういう役」への強い肯定。いやほんと、敷かれたレールすら上手く歩けなくてなんならオタクであり続けることすら簡単にはいかない僕らで、世界や未来を変えるなんて役者不足もいいとこなんだけど、それでもこんな人生でも、「でも自分にしかならなくて」。「買い物帰りいつもの道 大根飛び出してる」っていうケの表現もすごく良い。坂本真綾『ユーランゴブレット』を思い出す感じ。

ちなによるMVも素晴らしい。ちな、森佳祐、土上いつきらによる4:3の速度の探求にはすごく興味があって、地味な背景美術の美しさを地で行くエネルギーがもっともっと見たい。

 

PAS TASTA『river relief ft. 崎山蒼志』

Think(about it)のサンプリングと崎山蒼志のボーカルがこんなに親和して相互に作用しちゃっていいんだっていう。電子音に塗れた、しかして有機的。

 

森久保乃々 (高橋花林)『空想フォレスト』

デレのカバー曲のセレクトが素晴らしいのは最早恒例なのだけど、流石にダントツの話題をかっさらった気がする。流石に声出た。てかそもそも音域広すぎて人間に歌える曲じゃないんですよこれ。いや言ってもメカクシティアクターズで化物が歌いこなしてるんだけど、それでもあれは「キャラの声」ではないので。高橋花林さんがただただ凄過ぎる。

 

いよわ『一千光年』

『パラレルサーチライト』と比べて僅差でこっちで。初音ミクという存在は、「わたしも v(ココロ)を もって」たり「君が生きてなくてよかった」りしてきた訳だけど、「生きていても死んでいてもどっちでもいい」というメッセージをここまで勇敢に示した曲はあっただろうか。あとやっぱり、音の洪水による多幸感ですよね。

 

syudou『笑うな!』

分かりやすくおれが大好きタイプのドストレートな人間賛歌。syudouって『うっせぇわ』と『インザバックルーム』しか知らなくて、ツユとかと同じ箱に入れて捉えてたので正直かなりびっくりしました。すりぃの編曲はベンジェンスのサンプリングが余裕で顔を出してくるのが面白いし、この入れ方で自然に馴染んでるのはマジで技術力の高さだと思う。映像面ではりゅうせーが長らく封印していたはずの尾石的テロップ表現を解禁して効果的な外連味を与えつつ、力強い画風をポップにまとめあげていて素晴らしい。

 

DIALOGUE+『かすかでたしか』

個人的に春付近の田淵はかなり調子が良い法則があると思ってて、言うまでもなくコーラスワークと歌詞の熱量が尋常じゃないですよね。極め付けにアウトロの学校チャイムのモチーフ!!!広川恵一の底力も本当にバグってて、有り得ない大団円感を生み出している!!とマジで唸った。MVのテロップ表現もめちゃめちゃかっこいい。

 

Photon Maiden『4 many colors』

おぐらあすか実はやってるシリーズ。フォトンのみんなって実はこんなに可愛くて、アニメ1期でD4DJにハマってグルミクやり始めたらあんなにクールに見えたノアちゃんが限界オタクキャラでびっくりした記憶がよみがえります。2期では最初からもうがっつりオフの可愛い様子が描かれまくっていて最高~~と思いきやこの『4 many colors』が披露されるエピソードでは遂に事務所の方針と対立。1期で見た構図だ......と思いつつ、佐藤日向さん演じる福島ノアちゃんがゲーテの名言を引用して泥臭く抗う様にどうしても星見純那ちゃんの影を感じてしまって少し泣く。岩田陽葵さん演じる花巻乙和ちゃんパートで編曲ががらっと変わるのも、なんというか非常にらしくて良いです。

 

鬼頭明里『Dear Doze Days』

ケルト渋谷系という非常に珍しい一曲。それでいて、もうこの路線でこの曲を超えるのは無理だろうなと思わせてくるくらいの圧倒的な完成度。"こうできたであろう"一曲にモンハンダブルクロスの『トラベルナ』がありますが、やっぱりよくある渋谷系の域を出ていないので。いや、『トラベルナ』って凄く良い曲なんだけどね、『Dear Doze Days』は矢鴇つかさの成し遂げた偉業のひとつになったんじゃないかなと思うんですよ。

 

さくらみこ x 兎田ぺこら『モッシュレース』

 

名取さな『アマカミサマ(kamome sano Remix)』

色々な意味で相当なプレッシャーのある仕事だったと思うが......ただただkamome sano、名取さなありがとうと言うほかない。愛しかないremix。

 

なみぐる feat.ずんだもん『ずんだパーリナイ』

なみぐるについては以前も書いたけど感性が瑞々しくて良い。ジャンルごちゃ混ぜはなんぼやってもいいとされていますからね。

 

Ado『アタシは問題作』

映像作家のえいりな刃物さんの話をさせてください。ていうかすっかりピノキオピーの映像担当としてメインの立ち位置ですよね。それでいてエジエレキともすす泥棒ともYuma Saitoとも違う作家性を持ち合わせている。強いて言えば『たりないかぼちゃ』の映像表現はえいりなに結構属性が近かったかもだけど、あの時は揉めて色々大変だったみたいで。ニコ生で言ってたけど。あ、で、えいりなって今溢れかえってる個人映像作家の中ではかなり「演出」に目を向ける方だよな、ということを言いたくて。たぶんアート畑の人なんでアニメ塗りの一枚絵の強度は結構苦手としていて、だから『ぺこらんだむぶれいん!』のディレクションは明確にミスなんですけど、逆に言えばアニメMVの主戦場である「なんかエモくてカロリー高いカットを繋いでいく」手法じゃない部分で戦おうとする意志がある。はっきり言うと個人作家のアニメMV文化って去年後半くらいからぐんぐん士気が下がってるので(アニメ作る側の労力が凄まじい割に全然リターンが無いことにようやくみんな気付き始めてるので)、近いうちに大半がボカロMVメインストリームに戻っていくと思います。そういう時に生き残れるのが作画だけじゃなくて演出もできる人です。

あー、あとあれだ、「一回お茶飲め」のとこってたぶんピノキオピーの監督修みたいなの入ってるよね。

 

Nor『RE Aoharu』

4th PVってブルアカ映像化のダントツ最高到達地点な気がしてます。『かってに改蔵』のBlu-rayのブックレットで龍輪直征が「止めのカットだけでアクションアニメを作れる気がする」みたいなことを言ってて、そんなのできるのー?って思ってたんだけど4th PVはできちゃってるかも。

 

えなこ feat. P丸様。『アイデン貞貞メルトダウン

アニメの表現に対して色々と思うところはあるけど、流石に良い曲だったので。やしきんとおぐらあすかっていうチョイスが、なんていうか10年代中期の亡霊をずっと追いかけてる感じがして良いですよね(これは比較的良い意味で言ってます)。

 

以上