絵、音楽

ゼルダTotKの良かったところ、悪かったところ

散々寄り道したり普通にサボってたりしたら発売から3か月以上経っていた。作業フェーズ(TotKだと例えばゾナウエネルギーの結晶集めなど)に入るとアニラジを延々聴いてしまうのでなかなかメインストーリーを進めるのが難しいという個人的な話があったりする。ウロウロしてる間にも世間のゲームメタの速度は凄まじく、もうディアブロ4やらスト6やらアーマードコア6とかなんも着いてけてません。この後も暫くCelesteのMODやる予定だし......。

それはそれとして、いい加減とりあえず通常クリアはしとこうか、友達と話すときネタバレに気を遣わせちゃうことが多かったし、RTAも見れないし、と思ってハイラル城へ向かったらもう大変。なんか全然終わる感じじゃない。考えてみれば藤林秀麿がBotWと同じワールドで同じ攻略をさせる訳もなくて、「空と地底を行き来する」というTotK特有のゲーム体験を活かした意外性にぐいぐい引き込まれて、そのままクリアまで突っ走っていたなあ。

総評としては良いゲームだったのだけど、良かったところと悪かったところはかなりハッキリとしているので書き留めておこうと思う。

 

良かったところ

・「手をのばす/手をつなぐ/手を取り合う」という主題が、直截的に、しかし露骨すぎない程度に表現されていたこと

まず、オープニングでリンクは強い瘴気に晒される。ここで失った力をどうにかしていく最初の一歩が、ラウルから受け継ぐ「腕」。あるいは本作のゲーム体験の核のひとつであるDIY要素。先述の「腕」に宿るウルトラハンドやスクラビルドなどの力を使って、プレイヤーは自分の「手」であれこれ工夫を凝らして苦境を乗り越えていく。また、各神殿クリア後には対応する英傑との絆が結ばれる。ここで強調されるのは「手をつなぐ」という動作である。そして何より、ガノン撃破後の最後のプレイアブルシーンでもとりわけ印象的な「手をのばす」というコマンド。何がなんでもここで主題に気付くようにできているが、「自由落下するゼルダ」を助けるという目的の方が先行しているため、やはり露骨にならない。

この仕掛けが本当に素晴らしかった。人類の進化は人間そのものより文化にあって、これまでに醸造された文化をプレイヤー自らの「手」でなぞることによって豊かさを獲得していく。そういう基本原理が描かれていた。

 

・はじまりの空島の体験の豊かさ

BotWのはじまりの大地の数倍豊か。すごすぎた。ウルトラハンドやスクラビルドがゼルダの世界観を全く破壊せずそこに存在していて、自由に遊べるというプリミティブな喜び。

 

・地底の存在

発売までひた隠しにされていた(はず)。後述するように序盤の移動はダルいし採掘メインなのでほとんど退屈なのだけど、初めて深穴を飛び降りたときはまあ脳が死ぬほど痺れた。ローメイ遺跡の地上→空→地底の周回ギミックや神殿が地上だけでなく空にあったり地底にあったりする演出も非常にうまくはまっていた。特に炎の神殿とか、当たり前のように見えてオープンワールドでミクロとマクロを両立させてるの普通にやばいと思う。

 

・時の神殿を始めとするファンサービスの体をなした歴史

ゼルダシリーズは基本的に過去作要素の繰り返しで成り立ってる部分があるから正確にはファンサービスではないのかもだけど、歴史の上にいるという感覚がゲーム体験を鋭敏にさせる。当然過去作の壁は立ちはだかる訳だが、これまた当然のごとく単なるファンサービスの枠にとどまることなく、まったく新しいダンジョンを楽しむことができた。

 

・ゲームシステムの虚をついたガノン

ガノン第2形態のHPゲージが中央揃えではなく不自然に右へ伸びていくという仕草には、『UNDERTALE』的な「第四の壁」越えを感じてまあそこそこ昂った。しかしそれより何より、ガノンも回避ジャストを使ってきたことにとにかく感嘆せざるをえなかった。たしかにリンクにできる肉体操作がガノンにできないわけはないわけで。勝負も終盤になってくると回避ジャストの応酬を決めなければなかなかダメージが通らないが、それが故に決まったときの気持ち良さ/手応えが半端じゃなかった。

 

・一部キャラが美少女化していたこと

主にゼルダとプルアのこと。下世話な話だし実情は知らないが、エロ同人があってもおかしくないと思う。エロに興味がなくとも、まあ適度に美少女でいてくれて助かることはあっても困ることはない。

 

悪かったところ

・「祝福」の祠が多すぎる

祠に辿り着くまでの謎解きの比重が高すぎて、肝心の祠内の謎解きがおざなりになっている。空島でクリスタル運ぶやつとか別に謎解きでもなんでもないただの作業だし。これはもう完全に明確にBotWに劣るポイントだった。

 

・地底の移動がダルすぎる

慣れてきてからはフライングマシンで割と快適に探索できるが、序盤はかなりしんどい。おどろおどろしくて怖いし、暗くて見えないし、敵も強いし。リタイアしたい人にとってはこれだけで十分リタイアする理由になりうる(実際そういう配信者も見てきた)。

 

・難易度が高すぎる

スクラビルドで序盤から簡単に高火力の武器を作りだせるからなのか、雑魚敵のレベルが雑に高い。どちらかと言えば初心者にとってまず上げたいのは防御力かと思うが(死なないことが重要)、BotWと同じく防具の強化には異常な素材を要する。これも十分リタイアする理由になりうると思う。

 

・中盤までのストーリーが雑すぎる

せっかく四つの大きな種族があって、それぞれの地域への道のり、街並み、神殿内部のデザイン、大ボスのデザインも四者四様なのに、まったく同じ歴史がまったく同じ視点から語られる。きわめて雑。魂の賢者以降の終盤のストーリーこそ良かったものの。

 

こんな感じです