絵、音楽

2022年の良かった音楽, アニメ, MADなど

ひだまりスケッチ×ハニカム』#12「ゆく年くる年」をご覧の皆さん、いや、あるいは..........結束バンド『転がる岩、君に朝が降る』をお聴きの皆さんこんばんは。ずっと、ずーっとあの日から鳴り止まないんだよ、遠くで、近くで、すぐ傍で。

超今更ですがこのブログのアドレス、というかIDの「umihanakuro」の元ネタを明かします。きのこ帝国の『海と花束』と『クロノスタシス』です。そんだけです。佐藤の顔が抜群に良いことがバレてしまう前の...シューゲイザー/オルタナと邦ロックの融合に邁進していた頃の...陰キャ音楽の頂点だったあの頃のきのこ帝国.......ぼっちちゃんきのこ帝国聴いてた概念を僕は支持しますが、ところで皆さんは音楽聴いてますか?

僕はぶいすぽの白波らむねさんがかなり"推し"になってきてます。困ったね。最近専らVでも若い子ばっかり見てて、たぶんこれは「死ぬまでずっと少年少女のままの感性を持っていたい」という意思から発現するものである気がします。その頂点が卯月コウであることは言うまでもなく。だから結局、新しい音楽を聴き続けるし新しいアニメを見続ける。まあそういう一年でした。

あと、山田尚子萌え袖男子コレクションが増えた年でもある。そういうことにしといてください。

 

 

良かった音楽: 15選+45選 / 22年10月-12月+(1月-9月)

Toby Fox & 糸奇はな『Skies Forever Blue

「Feelings flowing out across the screen /until the bat'try runs dry」。ゲーム文化への究極的な憧憬がここに詰まってる。。。

UNDERTALEのファンたちによるトリビュートアルバムで見事な歌唱力をみせた糸奇はなが遂に本人とコラボを果たして、映像もOMOCATが作って、架空のゲームをコンセプトに制作されたストーリー調のバラードとして今後これ以上のものが出てくるのだろうか......。物語音楽としての編曲のコントロールが本当に見事。ブラスが最高。

 

博衣こより『乙女よ求めよQ.E.D.

こよの努力の結晶を讃えるかのような、圧倒的なパワーチューン。博衣こよりという存在の「ホロライブらしさ」はかなり飛び抜けてると思ってて、曇りやすい性格をしているのに決して諦めない。逃げない。希求し続ける。そういう姿勢をこんな曲、こんな形で提示されたら、泣いてしまうじゃないですか。

星街すいせい『ソワレ』を聴いてない不調法者なオタクは居ないと思いますが、ナナホシ管弦楽団の活躍がずっとやばすきる。人気ポップスの最先端を走りながら『デリヘル呼んだら君が来た』の頃の色から全然ブレてないのも凄くて。折に触れてMr.FanTanstiCのライブでのセルフカバーを聴きたくなってしまう程に。

 

結束バンド『なにが悪い』

KANA-BOON→tricot→ときて次はどのロキノン系だ!?って予想大会は全ロキノン厨(死語)がやったと思います。答えはthe peggiesで、今年9月からの無期限活動休止を憂うファンにとって全く思い掛けない最高のサプライズだったことは言うまでもなく、そして等身大の伊地知虹夏の叫びでした。

ハイコンテクストかもですが、神聖かまってちゃん『ロックンロールは鳴り止まないっ』と集団行動『鳴り止まない』の文脈は確実に踏んでいるはずです。でないとイントロの唐突な「鳴り止まなくて何が悪い」という歌詞に説明がつかない。皆んなは知らないあのバンドの曲、君にだけ聴かせたいんだよ。

 

パスピエ『発色』

ああ、この人たちはどれだけマイナーな方向へ邁進していても、いつだって一番人気だった時期のポップロックに帰ってこれてしまうんだなあという。音源チェックが少し遅れていて長谷川白紙とのツーマン『印象F』で初めて聴いたんだけどあまりにも衝撃的だった。で、結局この路線が一番ぶっ刺さってしまう自分に多少の悔しさもあり。最高。

あ、『印象F』の話します?まあ聞かれなくてもあの音楽体験は一生擦りますが...

 

遊佐こずえ&双葉あんず『まほうのまくら』

山本真央樹ベストワークス入り確定。最近ミュージカル調の曲が多い。

 

UNISON SQUARE GARDEN『放課後マリアージュ

悪いオタク風に言うと"これもう実質Q&Aリサイタルの続きだろ"。最近悪いオタクの言い回しにハマってます。

この笑っちゃうくらいの"B面にしておくには勿体ない"感は最早ユニゾン恒例。B面だけでライブやるくらいだし...(最高)。田淵のキャッチーさが爆発してる。配信しないことは名言されてるので、シングル買うなり借りるなりして聴いてください。

 

なみぐる feat.ずんだもん・初音ミク『ウニクラゲ』

シンプルに感性が若々しくて良い!まず間違いなく一番影響を受けてるのはナユタン星人なんだろうけど、そこから更に最近流行りの4つ打ち高速ダンスポップに寄せてて、動画の作りと歌詞からはころんば成分も感じ取れる。ニコニコ動画の色んなミームやレトロゲーの効果音で情報量盛り盛りなのも「やりたいことやってる感」があってとても良い。ころんばリスペクトの最低条件として「作品外での示唆の一切を我慢する」というのがあると思ってて、そこをきちんとクリアしてくれているのもありがたい。

インディーシーンで今年一番好きだったのはこれかな、と思います。

 

潟女DIY部!!『どきどきアイデアをよろしく!』

アンサンブルであり、エレクトロニカであり、R&Bであり、そして完璧なキャラソンであり...soundcloud時代のy0c1eの色がよく出てる。新井陽次郎によるOP演出も見事な温かさというほかなく、新井陽次郎の絵柄が松尾祐輔のデザインを貫通して表面に出ている辺りも松尾祐輔らしくて面白い。

2番サビの歌詞がいつ聴いても星野源すぎて笑ってしまう。

 

美波, 大橋ちっぽけ『水星 × 今夜はブギー・バック nice vocal meets Yuri on ICE』

『水星』と『今夜はブギー・バック』には時代性を超越して通じ合うものがあるのは自明として(それでもこの2曲を全くマッシュアップできた時点でもの凄いのですが)、ここにYuri on ICEを加えるという発想が/加えることができた技術力が、ちょっと想像の埒外すぎる。「見えにくい部分で技術と発想がぶっ飛んでる」音楽は数多くあれど、本作はかなり珍しい事例なんじゃないだろうか。

あと、フルサイズのラストは必聴。水星をこんなにドラマチックにしていいんだっていう。

柳沢翔ディレクションした映像も素晴らしい。

 

葉月恋『迷宮讃歌』

葉月恋さん、俺たち結婚しよう。

 

マキシマム ザ ホルモン『刃渡り2億センチ』

ホルモンのアニメタイアップって、毎回完全にホルモンなのに完全にその作品を捉えてるのマジでなんなんだ。「身体にほらエンジン」と「刃渡り2億センチ」の韻の踏み方が気持ち良すぎる。

 

姫森ルーナ『ぐるぐる@まわる@まわルーナ』

なるほど、マジか、んなたんの声質を最大限活かせるのって立秋さんだったのか!!という「やられた感」は今年随一だったかなと。例えば船長とToby Foxとか団長と渡辺翔とかって全然想定の範囲内の相性だったんだけどルーナはどうしても分からなくて、オリ曲2つ目がきたら見えてくるのかなあと思ってたらいきなり「正解」が来た。分かります?この衝撃

割合ポップスから離れたインプットからのアプローチでありながらもついつい口ずさんでしまうキャッチーさが流石としか言いようがない。音ゲーでやりたいのでグルミクかオンゲキお願いします。

 

上田麗奈『履き慣れてない靴のままで』

発売が間に合った例。何も無ければ『いちごいちえCelebration』『サイキョウチックポルカ』とこれはかなりベストワークス案件候補だよなという話を掘り下げたかったんだけどこの辺で。上田麗奈の声はずっと良すぎる。

 

シユイ『君よ 気高くあれ』

ryoらしさ全開。Bメロからサビにかけて勇敢な長調へ移行していくのが水星の魔女らしくて良い。

 

BUMP OF CHICKEN『SOUVENIR』

何千回でも言うけど、これはBUMP史上最大のスルメ曲です。

カラオケで歌おうとするとBメロから突然藤くんになれることが発覚。Aメロの息の抜き方むずすぎ。

 

前前回(22年1-3月)の15選↓

前回(22年4月-6月)の15選↓

前回(22年7月-9月)の15選↓

しかしこう改めて60選振り返ると随分アニソン文脈に偏って聴くようになってしまったなあ。まあ意識的にこうした訳ではないし暫くはこれでいいか。

 

 

良かったニコニコ動画の動画5選

こかむも『キーボードVSポケモンVSザクトロニクスVSひまり』

『ぬるめた』などで知られる漫画家・こかむもが"テスト期間にメッチャ掃除するみたいなノリで仕事やばい時にわけわからん動画めっちゃ作ってしまった"動画群があって、12/22から12/23にかけて合計10本投稿されている。実際来月発売の単行本作業もあるというのに(良い意味で)頭がおかしい。

タイトルだけ見ていくと冥鳴ひまりによるVOICEVOX実況のようだが、実際のところゲーム実況をする場面は全くと言っていいほど無い。ずんだもんと春日部つむぎを交えた不条理ギャグ会話がひたすら展開される完全なるこかむもワールド。

 

ガッkoya『いつもの二人でゆっくり解説』

琴葉茜と琴葉葵を用いた「あと99秒で爆発する妹のために実況シリーズ」などで知られるガッkoyaによるゆっくり茶番劇だが、最早言うまでもなくサムネを見た時点でまともなゆっくり茶番劇でないのは明白である。あたかも最初からこうだったかのように、ちいかわとハチワレが霊夢魔理沙(「いつもの二人」)のポジションを奪って不条理ギャグを繰り広げる。しかもこのちいかわとハチワレは"ちいかわとハチワレの形をした何か"であり、「~~かわ!?」という原作に無い語尾が多用される。それでいてなんか全然普通に話の内容も面白くて、『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』をかつてない視点から論じている。なんだこれ。

 

IZ『童貞に振り回された夜の話』

琴葉茜が一人で淡々と漫談を繰り出すだけであり背景とキャラ絵1枚ずつにテロップのみという非常にシンプルな動画構成ではあるが、VOICEROIDの更なる可能性を感じさせる一作。間の取り方、謎に見事な伏線回収、タイトルからは予想もつかないようなオチ。IZはかなりのペースでこのタイプの動画を制作しているが、これが一番面白かった。

 

メカP『あるあるストロメリア』

RGの「あるある言いたい」ネタって、散々引っ張ってオチが「ある.......かぁ?笑 いやまあ、ある、うーん」くらいの微妙にモヤモヤするところに着地するというのが面白さの核だと思ってて、甜花ちゃんの約束が休みに偏ってるというのはシャニP全員にとっての完全な「あるある」なのでそこが勿体なかった。人力で歌わせてる技術は凄まじいしラストまでの歌詞の入れ方は非常に本家っぽくて良い。あと動画の作りがめちゃめちゃ丁寧。

 

ますとも『すん・・・』

わたてんMAD。今年見たアニメMADの中で一番良かった。

 

良かったアニメ: TVシリーズ10選+映画5選+CM, MVなど10選

『明日ちゃんのセーラー服』

現代日本を舞台にこれだけ暖かくて煌いてる作品ってそうそう作れるものではないと思う。本当に大好きです。アバンから完全に新房シャフト演出だった八瀬コンテ回にはシャフトオタクもニッコリ。みんな好きだけど、やっぱ蛇森生静と戸鹿野舞衣の同室コンビ、かなぁ...。「え、Fコード!......」「へぇ~......。で?笑」の辺りの心の通じ合ったやり取りが、本当に。。。

 

『ぼっち・ざ・ろっく!』

出来れば世界を僕は塗り替えたい。戦争をなくすような大逸れたことじゃない。だけどちょっと、それもあるよな。俳優や映画スターにはなれない。それどころか君の前でさえも上手に笑えない。

3Dガイドが前面に出過ぎているライブシーンにはずっとピンと来てなくて、このごろの僕は弱いから、自販機前のシーンや江ノ島回ばかり繰り返し見ていて、でも最終回でぼっちちゃんが客席にダイブした瞬間、思わず涙と笑いが綯い交ぜになって決壊してぐしゃぐしゃになってしまった。『転がる岩、君に朝が降る』のギターリフが聴こえ始めて思わず唸った。ラストシーン、何も変わらず簡単そうに回る世界の中に佇む少し変われたぼっちちゃんの呟きに、また少し泣いた。

けろりらの今年の仕事量は間違いなく伝説級。ずっと、ずーっとキャラデやってほしいと願っていたので、大躍進して本当に嬉しかった。

 

ヤマノススメ Next Summit』

「誰かにとってのヒーロー」という概念に俺は弱いんだなあとつくづく思った。スマイルにとってのペコがそうであるように、虹夏にとってのぼっちがそうであるように、やっぱりあおいにとってひなたはヒーローだったよ。思えばNS#2新規パートの体育祭描写でも明らかにその構図が強調されていたし、最終話の山小屋での寄り添い方を見てると、ああ、3期で曇ってたヒーローが完全に帰ってきたんだなって泣けてしまう。

まさかヤマノススメDIYが両方こんなに凄まじい演出・原画に恵まれるとは思ってなかったです。まあどうやら作業時期が全然違ったみたいだけど。とは言え本当にありがとう。。。

 

『まちカドまぞく 2丁目』

全然気付かないうちに伊藤彩沙の声が完全に好きになっていたんだよなあ。伊藤いづもって三上小又くらい日本語を自由自在に操るので、原作の台詞をシャミ子たちが喋ってるだけでもめちゃめちゃ面白いんだけど、やっぱアニメ表現に落とし込む上でのデフォルメと編集が非常に優れてるシリーズだと思う。作画面でも吉田亘良が描く変身パート以外は上手いこと省力でやってて安心して見れる。

 

『かぎなど シーズン2』

ユイの「ひなっち先輩」呼びがアニメで聴けて感涙(キャラコメンタリーのみで登場のはず)。あゆと名雪Last regretsは絶対に音源化してほしい。負けヒロイン団、絶対に定着して海産同盟と同じくらいの地位を築いてほしい。

 

『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』

自分に手の届く範囲で、あるいは自分と仲間の手の届く範囲で何かを作ってみる喜び、というプリミティブだけど避けられがちな感覚への眼差し。DIY部に不器用じゃない子なんて一人もいなくて、あの部活こそがツギハギで作ったツリーハウスそのもので。つまるところ「居場所だってDo It Yourself!」なんだよな。要は対象が「形あるもの」である必要なんてどこにもなくて、一日一日を傷凹み込みで楽しく過ごしていこう、っていうメッセージがすごく響いたアニメでした。

水着回でたくみんがスカートたくしあげるカットは正直今期イチ繰り出してました。

ところで原案のIMAGO=磯光雄説の答え合わせはいつになるんだろうか。冬コミアニメスタイルから頒布予定だった「磯光雄 ANIMATION WORKS preproduction」がそれに該当すると睨んでいるんだが......いやもう未確定情報で語りたくない気持ちが最近強いから黙ってたけど正直1話でクラゲさん出てきた時点で「えーこれ磯じゃん」って思ったよ。そしたらIMAGOとか書いてあるし。プロデューサー追ってみたらコイルの頃からずっと磯と組んでるし。確度を高めるために非アニメーター・演出家まで追う癖がいつの間にかついてきたなあ。

 

『てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!!』

ブレはあったけど、ここまで好きなアニメは本当に久しぶりだった。

とにかくキャラが元気で個性的で可愛い。いくらブシロード作品と言えどいっぺんに出てくるキャラが多すぎて正直最初はなんじゃこりゃと思ってたが、最終的にはタカコ荘の全員が可愛くてたまらなかった。今岡律之フォロワーっぽいユルい絵柄がかなり良い方向に作用したように思える。バキバキに全カット作画良くなくても成り立つアニメは気疲れしなくて良い。

脚本も実はかなり優れていて、9話と12話はなんか普通に感動してしまった。完全にバカアニメの枠であるのは間違いないのだが群像劇を描くのが本当に上手く、今週もはちゃめちゃに始まったなあと思いきやBパートが終わる頃にはなんだか綺麗に丸めこまれているという感触。メイン15人もいるのに登場頻度の差もあまり感じなかった。アイカツやプリパラの構造に近い。ニコニコ動画との親和性が高い。

そしてそれらを支えるのがTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDによる劇伴。普段の彼らのアニソンから想像されるような路線ではなくとも、どの場面に対しても極めて適切な音楽が挿入される。個人的に、インディーのアニメを見ていて商業と一番差を感じるのは音。

割と伊藤彩沙目当てで見始めたみたいな部分はあったが、他の声優陣もとても上手くハマっていたと思う。例えば小山百代は得体の知れない年上っぽい役が一番はまるんじゃないかなと予てから思っていて、ちほりはまさにそんな感じ。ヤングワイワイとシンリャクシャが本当に好き。

 

『Engage Kiss』

シリーズ構成の丸戸史明が「過程はどうあれ"こういうのでいいんだよ"的エンディングを目指した」と言っていて、実際最終話の"こういうのでいいんだよ"感はズバ抜けているし「未解決で大団円」というサブタイトルも秀逸。アニメアニメしているアニメでとても良かった。

シリアス部分のスケール感がもっと大きければもっと好みだったなと思った。禁書ほどとまでは言わないけどCharlotteぐらいはあってほしかった。リコリコにリソースが割かれていたのだとは思うけど、バトルやるならやるでやらない回が別に多くてもいいのでは...?とは思ったがここぞというアクションでは加藤滉介や有原慧悟が活躍していて良い作画が見れた...というのも確かではあり複雑な感じ。サブキャラのデザインがやたら地味なのも勿体なかったかも。

とはいえやはりメインキャラ達のビジュアルとキャラ立ちの良さが凄かった。例えばリコリコとかグリッドマンみたいなデザイン的新しさは全然無いし私服パターンもマジで全然用意されてないんだけどつなこの絵と声優陣の演技がとにかく魅力的("こういうのでいいんだよ"が追求されてる感じ)。斉藤壮馬はもうベテランの部類に入るだろうから文句無しで最高なのは言うまでもないとして、会沢紗弥を初めてきちんと認識した。。。ルックスも喋りも演技も全てが良すぎる。。。

 

『咲う アルスノトリア すんっ!』

久野美咲富田美憂、花井美春らがロリキャラを名演。特に小アルベールは富田美憂が演じてきたキャラの中で一番好きかも知れない(秋葉原でやってた展示行ってアクスタ買った)。所謂お姉さん組もいてバランスが取れており、ひたすら可愛くて見やすかった。ピカトリクス役の幸村恵里はシャニマスの冬優子でしか存じ上げなかったけどこれも上手くハマっていた。

ソシャゲ原作の日常系アニメで、毎話数分挟まる敵視点がだんだん不穏さを増して最終話にはいよいよ主人公たちの朗らかな日常を脅かすのかと思いきや結局入れ違い?で何事もなく終わる。ソシャゲの方では普通に敵として出てくるんだろうけど、アニメとしては日常を壊さないことに徹底していたのが良かった。

日常系でしかも現代日本ではないとなるとどうにも話数の区切りが曖昧というか話数ごとの特色が出にくい傾向がある気がしてるのだが、このアニメはサブキャラや舞台をかなり上手く使ってた印象。シリーズ構成・脚本が正統派に優れてるなあと感じた。

ちょくちょく瞬間的なテロップが挟まる辺りに龍輪演出を感じた。どうやらシャフトを離れてからは岩崎安利とコンビで動いてるらしく、そういえばさよなら絶望放送を聞く感じだと当時からかなり仲が良さそうだよなと思ったり。

 

サイバーパンク エッジランナーズ

同意、今石は神。

 

『すずめの戸締まり』

評価が非常に難しい作品。とは言え難しいという言葉で簡単に片づけたくもない。ひとつ確実に言えるのは、今年のアニメ映画で一番好きだったということ。

まず、家庭問題や震災といった特にテン年代以降非常にセンシティブとされるモチーフをあまり丁寧に扱わなかったという事実は決して看過できない。鑑賞者の半生に大きく左右される要素でもあり、細田守の『竜とそばかすの姫』では家庭内暴力が舞台装置としてあまりにも粗雑に処理されたことにより、それ以外の良い部分に全く目を向けられなくなった人も少なくなかった。新海誠は同じ映画監督としてこの反省を踏まえながら本作に臨んだはずだが、それでもまだ現代人が扱うには重すぎる/解決していなさすぎる問題なのだと思う。震災文学的な側面に最大限慎重にアプローチした『傷物語』でなんとか、という具合。

次に、わざわざ露骨にセカイ系の定型から外した結果やはり着地点がどっちらけになってしまったのは(震災文学云々を抜きにしても)確実に教訓ではあるように思う。定型に当てはめることを嫌う人もいるかも知れないが、実際のところ「君」を救うか「世界」を救うかという究極の二者択一まで来たのならかけがえのないどちらかを犠牲にしないとドラマチックな物語はうまく着地しないのは数々の作品が証明してきた。だから浅羽はイリヤを救えなかったし、帆高は世界を救えなかった。手を伸ばしても届かないものを希求してきた。

しかし、『天気の子』まででいずれも希求しきったからこそ、「君」も「世界」も救うという究極の希求ができたのだとも思う。鈴芽が愛の力による生物⇔要石の可逆性に全てを賭けたからこそ、「世界」を救った代わりに「草太」を救えなかった物語に続きが生まれた。宮崎から東京までで終わるはずだった軽快なロードムービーに続きが生まれた。そして東京以北の足を担うのは芹澤という"""癖(へき)"""の塊みたいな最強のキャラクター。芹澤の軽薄さと不器用さと不思議な包容力が、ロードームービーとしての面白さを更にぐんぐん押し上げていく。初日に観たとき、ただただ圧倒された。芹澤の足が最後まで保たないのも芹澤らしい。ロードムービーの最後の足を担うのは環さんが漕ぐ自転車であり、鈴芽への愛。自転車に始まり自転車に終わる、壮大で素朴な旅路。12年ぶりの里帰りも兼ねて。俺がこれを良いと感じない訳がなかった。ついでに言うならば3週目特典の小説『環さんのものがたり』では、東京に辿り着くまでの環さん視点の旅路がモノローグ主体で描かれる。このアイデアが本当に良くて、本作の「旅」の解像度をより高くするものだった。

疑問はいくつも残る。草太を要石から人間に戻せることについて何故そこまで妄信的になれたのかとか、鈴芽の恋愛感情の動機とか。ただまあ、もともと新海誠はその辺りを仔細に描くことをせず、「なったものはなったもの」として鑑賞者に多くを委ねる。俺はそれでいいと思う。「恋愛」「震災後の成長」「ロードムービー」の3本の軸がきちんと交わった終着点は迎えてないのはやはり課題だと思うが、その辺りは次回作に期待したい。というか、今後の展望を充分に期待できる型破りな作品で今年一番好きだった、というのを取り敢えずの総評としたい。

 

『四畳半タイムマシンブルース』

原作(サマータイムマシンブルース)のトリックやキャラの役割をほぼ崩さず四畳半神話大系のメンバーで再演した感じ。後味は少し違うけど。ただでさえ面白い原作がアニメならではのコミカルで見やすい映像になってるので、実写映画が肌に合わないって層に刺さると嬉しい。

本作の明石さんは結構快活で服もがっつりオシャレで可愛いが、『四畳半神話大系』の明石さんと比べてどっちが良いかというのは派閥が分かれそうではある。

 

『地球外少年少女』

近未来技術へのワクワク感とクソガキ感描かせたらやっぱ磯だなあと。井上俊之の活躍もすごかった。みなみなミーナはもっと流行ってよかったと思うし、赤崎千夏はすごい。

制作の都合上、企画段階にあった重要な描写を大きく削る必要があったらしく、結果として終盤のインパクトが薄かったのが勿体なかった。『電脳コイル』は最終話の最後の最後まで印象的なシーンが詰まってて、リアタイ当時ちびっ子だったのにほんとボロボロに泣いたなあと思い出したり。

 

『映画 ゆるキャン△

本気で出版業界に従事したいなら志摩リンみたいに地方へ飛んででも小さな出版社から始めてみるべきだったよな~...とガチめな後悔から始まり、まあそれは個人的な事情だからどうでもよくて、野クルまわりの面々の「その後」が、かなり「ありそう」でかつリアルすぎない範囲で描かれてるのがとても良かった。

 

『犬王』

ここ最近流行り過ぎていたミュージカル型アニメ映画のひとつの完成形だと思った。鎌倉時代の日本と現代の日本の狂騒に同じバイブスを見出すという発想がとても面白く、こんなん当時の技術じゃありえねーだろって演出にも一応の理屈を付けることができてる辺りに湯浅の高い技術を感じざるを得なかった。

松本大洋と言えば『東京ヒゴロ』を読みましょうね。

 

【白夜極光】 1.5周年記念動画公開 - YouTube

B=大久保俊介がようやく公式で明かされた訳ですが、マジで極端なことを言うとここ1年くらいずっとイラストもアニメもSNSの在り方も大久保俊介が自分の中ではトップにいて。短いPVとは言え初監督作品でこれだけのものを提示してくれたのが本当に嬉しい。マジで極端なことを言うと今年最高のアニメだと思ってます。森佳祐が描いてるのもエモい。

 

白雪 (White Snow) - Eve MV - YouTube

藤田春香が京アニを出て初となる監督作品、が、急にこんなタイミングでこんな凄まじいもので来たので流石に声出た。既に数々のオタクが指摘しているようにヴァイオレットエヴァーガーデンであり、山田尚子からユーフォのED演出を引き継いだ存在であり。バトンは確かに渡されていくんだなあと感じさせてくれる力強い映像。

 

【フルバージョン】Z会グループ × loundraw × FLAT STUDIO 受験生応援ムービー『ふたり分の証明』 - YouTube

バトンと言えば同日公開のこれなんかまさにですよね。新海誠からloundrawへの明確なバトン。めちゃめちゃに良いのは言うまでもなく。ただしもう、loundrawは明確に新海誠とは異なる作家性を手にしています。『十年分の私へ』で試行された恣意的に抑えられた冬の色調が、倍以上の尺で結実している。これは本当に凄いことだと思う。『未来想像記』で希求された春も『サマーゴースト』で希求された夏も、loundrawの中では冬を中心に廻っているのかもしれない。

 

22/7 『曇り空の向こうは晴れている』music video - YouTube

ナナニジ以降の堀口悠紀子絵の集大成だと思います。折り重なりループするストーリーの加速度と作画のエネルギーの加速度の理想的な調和。これ以上言うことはない最高のMVです。死ななくてよかった。

 

ROF-MAO - I wanna! You wanna! - YouTube

キャラ萌えで言ったらダントツ最強なMV。ふわっちファンの我が妹もえぐいえぐい騒いでたんでこれはたぶん女性ファンの総意なのかなと思うんですけど、あっちむいてほいシーンの各ライバーのリアクションの解釈一致具合がマジでえぐい。俺実は甲斐田くんかなり好きなんですけど....これはマジで"萌え"..............

 

葉の茶 ハハハの茶/そよ風篇 - YouTube

豊井フォロワーらしくて良い。豊井本人がそうだけど、商業シーンにこのタイプの絵は出てきにくいので珍しさという意味でも傑出してる。

 

漫画『化物語』シャフト制作特別PV - YouTube

大暮維人の絵で動いてるだけでも凄いのに、既にアニメ化されたシーンをシャフトがもう一度アニメ化するという試みが面白い。まよいマイマイのラストで締めてるのも良いですよね。やっぱまよいマイマイなんだよなあー。いま宮本幸裕が欠けたらめちゃめちゃヤバいので、シャフトはもっと宮本幸裕を大事にしてください。

 

DIALOGUE+「1000万回ハグなんだ」アニメーション Music Video - YouTube

竹下良平の新作。商業戦略的にはどこをターゲットにしてるのか全然分からないけど、創作としてはわちゃわちゃしてて面白い。あと睦月周平の作編曲と田淵智也の詞がやっぱり良い。いくつかのDIALOGUE+過去曲がイントロとアウトロの演出に用いられてるけど、アイガッテランテを入れたまま通してるのまあまあやばいと思います。そのうち消えそう。

 

【Ado】風のゆくえ(ウタ from ONE PIECE FILM RED) - YouTube

森匡三最強!

 

名取さな - モンダイナイトリッパー!【オリジナルソング】 - YouTube

植草航は天才。ただ、最近はPie in the skyの面々で効率的にアニメを作ってるので個人作家性が若干薄れてて、カラスは真っ白のMVやってた頃のような凄まじい密度のアクションは少なくなってきてるのがちょっと悲しい。

 

 

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長えよ。

来年はちょっと他所で真面目なアニメ語りを試したいので、このチラ裏メモシリーズも今回でとりあえず一区切りにしようかなと思ってます。長いし。

それではよいお年を。