絵、音楽

2020年の音楽、アニメ、漫画、実写映画

たまこまーけっと最終話『今年もまた暮れてった』をご視聴中の皆さん、或いはクリスマスですからね、涼宮ハルヒの消失をご視聴中の皆さん、こんばんは。年が明けたら氷菓#20『あきましておめでとう』を見るのが作法ですよ。

ええ起き抜けですとも。しかもきっとこの記事を書き終える頃にはイブも本番も過ぎていることでしょう。僕なので。

iPhoneのロック画面が示すは12/24 21:49、例年よりも......少なくとも去年末よりは確実にデッドな年末進行を乗り越えて、退勤してちょっとtwitter見てる間にどうやらしっかりと寝落ち。この後創作の方の打ち合わせがあるからもうちょっと今日を頑張らなきゃいけないのだけど、いや12/24て。毎年書いてる創作振り返りブログを1文字も書いてねえじゃんすか。

そう思って起き抜けにペンを執ったはいいんですけどね、嚆矢としての怪文書を書く気になれなかったんすわ。あまりにも激動の一年過ぎて、特に僕の人生は面白いことや嬉しいことが大山のように聳える代わりに辛いことや悲しいことが大海のごとく広がるように、随分律儀にエントロピー保存則を守り抜く難儀な性質を備えていやがるんですが、もう本当に疲れた、今年は。。。。。

賭けてもいいですが、来年はほんともう全く無理のないようにうまく生きてやりますよ。なるべく。うん。何を賭けようかな、やっぱりカシオミニかな。

こんなもんでいいかな、こんなもんでいいですよね。こんなちっぽけなものでも僕らの人生の一部の前文たる怪文書たらんことを。

 

 

そんで、去年の創作振り返り記事を読んでいるとなんだかそれぞれの創作物に対して随分な文章量がありますけどね、今年はこれもせいぜい2行程度に圧縮しようかなと。

そもそも例年、特に大学卒業する2017年まで...人生に何の希望も見出していなかった頃は、普通に1行とかだったんですよ。でもそれくらいの緩さでいいかな、と。

気を抜くとどんどん記事が膨らんでいきます。バイバインみたいですね。省エネ主義に見合わないのはよくないのでさっさと始めましょう。まずはいつも通り、僕の人生の絶対的な根幹たる音楽から。

 

 

 

2020年の音楽10...15選

10曲に絞りきれんかった。時間無いので順番とかもテキトーです。まあ順番なんてそもそもないが。

 

 

おすたああああ『rainbow (OSTERさんの逆襲 Remix)』

https://www.youtube.com/watch?v=Qs1scg1tQPs

この曲と楽曲『セーブデータとほうき星』は、自分の人生におけるひとつの究極的な到達点と言えましょう。生きてきてよかったです。

『rainbow』がwacとOSTER Projectへの人生レベルのリスペクトで生まれた曲なので当然なんですけど、OSTER Project feat.かなたん『世界の果てに約束の凱歌を -ReUnion-』とは色々な共通点があります。どちらか片っぽが好きな人はもう片っぽも絶対好きになってほしいですね。

 

赤い公園『オレンジ』

https://www.youtube.com/watch?v=E0lNhfJQ9qA

この曲を聴くと、津野米咲はボロボロでも必死に最後まで自分を鼓舞しようとしていたんだな、と思うんです。「違う違うそんなんじゃない、じゃあ私ってどんなんなんだよ ぐるぐる目がまわる しっかりしろよ」。

彼女は最終的には自殺を選びましたが、全身全霊を込めたものを遺してくれただけで十分です。「さよなら、さよなら」。

 

パスピエ『プラットホーム』

https://www.youtube.com/watch?v=WGxlSC3-SRI

ここ最近のパスピエの音楽性はかなりニューウェーブリバイバルに寄っていて、僕はその手のノスタルジーをあまり好まないのですが、きっとここで得たサウンドやグルーヴ感の知見をポップ・ロックに融合させてくれると信じて待っていました。

まさに最高に期待通りの曲でした。そういうバンドですから。それにしてもブラスの組み込み方が変態すぎますね。

 

UNISON SQUARE GARDEN『スロウカーヴは打てない (that made me crazy)』

https://www.youtube.com/watch?v=mAloHYu4Meg

田淵!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

好きだ。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

 

ヤジマX (fromモーモールルギャバン)『夢から醒めた憐れな野獣だな、まるで』

https://www.youtube.com/watch?v=TAc4C5SnAFE

最近の邦ロックと言えば専らメロウでチルアウトなダウナー表現が主流ですが、僕らロキノン厨は25歳になっても焦燥ロックを求めているんですよ。向井秀徳のような、志村正彦のような。

普段のコミックバンド路線から逸れていても、メインメロディの音型はしっかりとゲイリー。芯の強い最高のロックです。

 

BUMP OF CHICKEN『アカシア』

https://www.youtube.com/watch?v=BoZ0Zwab6Oc

藤くん!!!!!!!!!

結婚おめでとう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

小沢健二『流動体について』(2020/5/28 Mステ演奏版)

https://www.instagram.com/tv/B_7XM61B4kz/

unpluggedな雰囲気でありながら、魔法的なアルペジオと電子ドラムで今風のグルーヴ感を備える全く新しい『流動体について』でしたね。原曲の裏声部分は無理の無いメロディにアレンジされていたり、りーりーがぴょこぴょこしていたりととても平和な音楽体験を齎してくれました。

今年は音源のリリースこそなかったものの、5/28のMステで披露した『流動体について』、11/24のライブ『キツネを追ってゆくんだよ』、12/25のMステで披露した『強い気持ち・強い愛』、どれもが衝撃的に良かったですね。

 

REDALiCE feat. 兎田ぺこら&さくらみこ『ぺこみこ大戦争!!』

https://www.youtube.com/watch?v=uRB1G0cKpIk

今年のVTuber音楽の盛り上がりはマジで史上最大でしたね。そんな中でも一番好きなのがこれです。

ぺこーらとみこちが推しなだけと言えばそれまでなんですけど、ぺこーらって歌歌うと自分っぽさが消えることに対して自覚的なんですよね。でもこの曲に関してはかなりぺこーららしさが出ている。言うまでもなく、相手がみこちだからでしょう。みんなはクリスマスお泊り配信見た??やっぱりぺこみこ推しなだけかも知れんな。

 

月ノ美兎『ありふれた毎日の歌』

https://www.youtube.com/watch?v=mkGN7jTRwfI

ねえ、聞いて、セラニポージ『MERRY GO ROUND JAILHOUSE』をこっそり聴いてた音楽オタクの皆さん。。。。周りのみんなが流行りの曲を聴いてる中、『Dear Heroes』に勇気づけられて、『ありふれた毎日の歌』に癒されていた皆さん。。。ネジ君の真似をして、「やっぱセラニだよな~」なんて独り言ちていた皆さん!!!!!

ササキトモコによる10年越しのセルフアレンジです、信じられますか??僕は信じられないので、こんなありふれた毎日に、存在を確認するように歌ってます。

 

月ノ美兎『アンチグラビティ・ガール』

https://www.youtube.com/watch?v=zHQ8wCvnLcI

ちっぽけなはずだった身体と、宇宙みたいに大きい感情。変な言い方ですが、この曲がスマッシュヒットを記録したときに、「あ、Vのオタクってそんなに悪い人たちばっかりじゃないんだ」って強く思ったんですよ。絵を隔てた向こうから溢れる感情って、本来ちょっと重かったんじゃないかな。

詞がやっぱりこの曲の多くを占めますが、もちろん圧倒的な作編曲力があってこそです。あの『さよならアンドロメダ』と比較してもTaku Inoueのサウンドは凄まじい進化を遂げていて、何万回聴いても空間表現の巧みさに打ちのめされます。

 

ラマーズP『サビ始めを「世界」の単語から始めたら神曲になれるんじゃね?』

https://www.nicovideo.jp/watch/sm36879653

『星 は 瞬 く 股 開 く』以来の本人ボーカルで『ないないなな拍子』以来の超元気ポップスって神曲にならん訳ねえんだよな~~~~~

 

(シト)『仕方ないのでやれやれ』

https://www.youtube.com/watch?v=YtGSzDeTdBM

水島努の詞って、決して難しい日本語表現を使う訳でもないし複雑で奥の深い展開を作れる訳でもないんだけど、沁みるんだよなあ。

そんでそんで、仕方ないので、やれやれ。彼を監督たらしめている象徴的なフレーズだと思います。人徳なんだよなあ。僕には簡単じゃないことだけど、なるべくかくありたいといつも思います。

 

スタァライト九九組『再生賛美曲』

https://www.youtube.com/watch?v=NKS8UccJp_I

洋楽的なアプローチでありながら、スタァライト再生産総集編のED主題歌としてこれ以上ないくらい華々しくスクリーンに響き渡った讃美歌。なんでも、佐藤純一への一番最初のディレクションは"フレディ・マーキュリー的なのを"だったとか。

パンフで中村彼方が「メロディーって、すごく言葉を引っ張ってくれる」と語っているんですが、この感覚は作詞家として本当に大切です。これからも意識していきたいですね。

 

やなぎなぎ『芽ぐみの雨』

https://www.youtube.com/watch?v=5EggZdAvyzU

ストリングスのアレンジもうちょいどうにかならなかったのか、というのはずっと思い続けてるんですが、それでもやっぱり「俺ガイル」という物語を締め括るのにあまりにも相応しい名曲でした。

ほんと、どうして順序があるんでしょうね。何もかも大切なのに、捨てる順番を考えるのは何故なんでしょうね。本物を探しつづけるのは本当に難しいです。でも、完全なハッピーエンドなんてなくても、それでも欲しいんですよ。

 

鬼頭明里『23時の春雷少女』

https://www.youtube.com/watch?v=fUEhHQvLViE

脳みそ溶けるくらい最高な成田ハネダ編曲。実はやしきんも連名で編曲にクレジットされているのですが、この曲におけるやしきんの仕事は"成田ハネダを暴走させずに、飽くまでもアニソンの文脈に落とし込むこと"だったのだと思います。なので基本はやっぱり成田ハネダありき。

作曲面は『ギミー!レボリューション』を彷彿とさせますね。今まで同曲に一番近いのは内田真礼の『Smiling Spiral』だと思ってたんですけど、『23時の春雷少女』はそれを超えてきました。ただ、『ギミー!レボリューション』とは違ってタイアップが付いてないからこそできる自由さもあって、それが詞に凄く反映されてるんですよね。これでもかってくらいに田淵が本当にやりたい日本語表現が詰め込まれまくってて、それが鬼頭明里の声ともすごく合っているので聴いててずっとワクワクしてくる。

 

DIALOGUE+『トーク!トーク!トーク!』

https://www.youtube.com/watch?v=97ykdCh9e6E

究極的には、人間って"話したい"んですよ。嬉しいことや悲しいことがあったら誰かと話したいし、新しく知ったことがあったら誰かと語りたい。高度な文化を持つ動物として人間のレベルを引き上げたとき、最も根源的な欲求はこれです。お喋りは続くんですよ、永遠に。

田淵のメロディなのに、大胡田なつきの詞がとんでもない求心力を持ってて、なんかもうDIALOGUE+の子たちも恐らく大胡田なつきが付けたと思われる仮歌に引っ張られまくってるんですよ、歌い方が。この事実は物書きにとってこれ以上ないくらいの光だと思ってます。中山真斗による編曲も、これ曲名がまあたぶんフリッパーズ・ギターの『カメラ!カメラ!カメラ!』のオマージュじゃないですか。だからこのトイポップ/ミクスチャー/ファンク的なアレンジって、たぶんネオ渋谷系の文脈(と言うかずばり言ってしまうとPlus-Tech Squeeze Box)を意識してるんじゃないかなー、と。全てが噛み合った完璧な合作ですね。

 

 

あーーほら結局長くなった長くなった。

次セクションからはガチで巻きでいきます。来年へ向けて。ほんとだかんな!!!

2020年のアニメ10選(TVシリーズ

イエスタデイをうたって

今年の一番はこれでした。冬目景なんだよなあ~~~~。。。平生ヒューマンドラマを好む僕ですが、陸生や榀子がほぼ自分と同い年なので特に効いたなあ。

そして作画オタ的にはなんと言っても濱口明の大活躍。彼自身の提唱する"頑張り作画"とヒューマンドラマの日常芝居は非常に相性が良いです。気鋭の新人・新沼拓也の活躍も目覚ましく、確かな濱口明マインドを感じました。改めて濱口明、本当にありがとう。。。。。。。。

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』

うん、誠実に描かれてるヒューマンドラマほんま好きなんよ。。。。ほとんど完璧なファイナルシーズンだったと思います。感情が感情して呼吸困難になりながらも、本当に毎週見ていて最高に楽しかった。どんな手を使ってでも結衣に救いを齎す考察は以前ブログで書いたとおりです。

作画オタ的には、竹内哲也と荒木涼が不参加だったのは残念でしたが、本人不在でも竹内哲也マインドがしっかり引き継がれていたのはとてもポイント高かったです。及川啓の演出方針に一貫性があったお陰だと思います。竹内哲也の芝居作画には濱口明とはベクトルが異なりますが"頑張り作画"的な成分があって、やはりヒューマンドラマと非常に相性が良いのです。この辺りの理解には、『N・H・Kにようこそ!』最終回を見るのが手っ取り早い。

 

Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』

ギルガメッシュの英雄譚を主軸に置いた、藤丸たちの大冒険活劇。なんせ今のアニメで冒険活劇なんて滅多にありませんから、FGOのこと最初は全然知らなかったんですがとても楽しく観れました。

作画オタ的には、やっぱり8話の五十嵐海パートと18話の田中宏紀パート、それから、ほんとキリがないのでこの辺にしますが、紺野大樹初話数作監回(12話)に今村亮や松本元気といったシャフト在籍時代のスターアニメーターが参加していたのもアツかった。

 

かくしごと

亜細亜堂が制作を担当してくれて本当に良かったと思います。久米田作品でありながら幅広い層に人気を博した、とても誠実で温かいアニメ化でした。

とは言ってもやっぱり見てると宮本や龍輪や尾石のカルト演出が恋しくなって絶望先生改蔵を見るんですが笑

作画的見所は特に無いですが、キャストがみんなハマり役でとても楽しかったですね。しかもオーディションで。あやねるが久米田信者すぎて実は亜美以外の女性キャラも片っ端からエントリーしていたというエピソードが好きです。

 

『プリンセスコネクト!Re:Dive』

最初はコッコロちゃん目当てで見始めたはずが、ペコキャルほんとやばいまじで無理てぇてぇ。。。を毎週繰り返すことに。キョウカちゃんやリノちゃんなどの他のもともと知ってたキャラもみんな可愛くてほんと助かりました。ざーさんのアオイの演技がもうめちゃくちゃ面白くて、一時期狂ったように毎日アオイ登場シーン見まくってた。

金崎貴臣がほんと頑張った。菊田幸一のこのすばキャラデがどれだけ革新的だったかが分かりますね。作画オタ的にはOPの坂詰パートと杉田パート。

 

『推しが武道館いってくれたら死ぬ』

あーや!!!!!!!!!!!!!!!

好きだ。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

原作はタイトル知ってる程度でしたが、やってるアニメ全部見る勢から段々となんかこれ面白いぞって話が伝播していって最終的にみんな見てたイメージですね。キャラデとキャスト(特にえりぴよと舞菜)が魅力的なんですが、個人的には全体の色彩設計がとても冴えていたように思います。

作画オタ的には1話のライブシーン椅子汰一人原画。

 

『グレイプニル

内容はまっっっっっったくまとまってなかったけど、今岡律之が大好きやねん。

アクションシーンでは沖田博文の活躍が凄まじかった。。。2020春期はイエスタデイとグレイプニル動画工房黄金期のアニメーターが沢山輝いてて本当に楽しかった。

メインキャラは割と立ってたと思う。エレナめちゃめちゃかっこいいし、塾の回想シーンとかもなんか面白くなりそうな雰囲気は出てて良かった。

 

『邪神ちゃんドロップキック'』

3期はやくしろ!!!!!!!!!!!!

 

安達としまむら

入間人間作品特有の、不思議ちゃんばかりなのだけどなんとなくリアルな冷たさを少し帯びた人間関係がうまく映像化されてて良かった。

何故『安達と島村』ではなく『安達としまむら』なのか、について、職業柄パッと思い付くのは文字数のバランスや字面の柔らかさの解決、みたいなデザイン的側面なのだけど、それ以上に安達にとって島村のイメージは「島村」ではなく平仮名で「しまむら」なんだよな、と思う。本当に可愛いな安達は。

日野と永藤ははやく結婚しとかないと後々面倒なことになるからはやく結婚しとけ。

 

『アサルトリリィ BOUQUET』

想定以上にコメディ要素が強くて良かった。でも最後の方はダリフラ並に雑な展開でしたね。錦織や佐伯クラスでもエヴァを目指すとどうしても失敗するこの現象を何と言うでしょう?→A. エヴァの呪縛。ただ、宮本幸裕演出回(8話)は今年のアニメでも1、2を争うはちゃめちゃに良い話数だったと思います。実質ひだまりスケッチ

キャラクターは大体みんな好きだけど、特に好きなのは楓・J・ヌーベルちゃんです。ボケとツッコミ両方できる上に優秀でとても優しい子なので。

作画オタ的にはもちろん長田寛人と砂田茂樹ですよ。

 

『D4DJ First Mix』 ←まだ終わってないので10選には含めませんが番外編です 

クラブミュージックやDJイベントに対する一定以上の理解度がある人でないと流石に勧めづらいですが、結構丁寧に解説してます。それもきちんとアニメ表現の範囲内で。

りんくの"無知でアホだけど感覚で音楽を誰よりも楽しんでいる"というキャラクター性がとてもうまく物語を回していますね。そんで、りんくに惹かれる女の子たちがみんなとにかく可愛いんですよ。才能もあるし。ずるいな~

驚くべきことですが、7話のりんくと響子の会話シーンは、セルルック3DCGの歴代最高到達点なのではないでしょうか。Orangeによる『宝石の国』のセルルックに肉薄します。興味深いのが、"3DCGを採用したことにより浮いたランニングコスト分でどれだけ作品の魅力を上げるか"に対するアプローチのベクトルが京極尚彦水島精二で異なることです。京極尚彦は『宝石の国』制作時、そもそも市川春子の世界観を作画で再現するのは不可能だと判断し、セルルックを選択した上でレイアウトや色彩の表現に徹底的にこだわり、アニメ『宝石の国』をとても魅力的な作品に仕上げることに成功しました。一方で水島精二が監督を務める『D4DJ First Mix』のレイアウトや色彩にははっきり言ってこだわりが全く見受けられませんが、日常芝居のコミカルさに余剰リソースが全振りされています。これは言うまでもなく、"メインキャラをどれくらい生き生き動かして可愛く見せれるか"がD4DJにとっては最優先事項であるからでしょう。今後がとても楽しみです。

 

 

これほんとに書き終わるのか?

もっと巻くぞ!!!!!!!!

2020年のアニメ10選(映画作品)

『劇場版 SHIROBAKO

傑作。再上映版も含めて6回観に行った。SIVAお疲れ様本で、『有頂天家族』シリーズのキャラデなどで知られるアニメーター・川面恒介が"なりきって"描いた如何にもアクション一筋な硬派アニメーターが描きそうな一枚絵がまさに遠藤って感じでめちゃめちゃ好き。

 

『劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 前編 Wandering; Agateram』

バビロニアが大冒険活劇なら、キャメロットは真反対のヒューマンドラマ(ギルガメッシュを主役に据えた喜劇⇔ベディヴィエールを主役に据えた悲劇)。特に前編にはFateシリーズで散々見る超人アクションがほとんどなく、武器の一撃や装備の重量感をとても大事にして情緒を展開している。

その構造は見れば見るほどベディヴィエールに感情移入していってしまう紛うことなき傑作。吉成鋼パートはもちろん必見。

 

ジョゼと虎と魚たち

良作。よくあるよくできた青春映画と言えばそれまでだが、キャラクター原案を手掛けた絵本奈央の絵がとても魅力的なのだ。『荒ぶる季節の乙女どもよ。』でも思ったが、彼女の絵の可愛さの本質には日本古来から伝わる"雅"の心がある。日本人として生まれた以上、やっぱり大和撫子に惹かれるものがあるのかも知れない。だからジョゼがほんとめちゃめちゃ可愛い。

本作にはコンセプトアート担当としてloundrawが制作初期からずっと関わっているという。そのためか、一部のキャラにはloundrawの絵の特徴も見受けられた。特に舞はかなりloundraw絵してると思う。

 

『BURN THE WITCH』

良作。究極的には、久保帯人の考えることは全部かっこいい。川野達郎の名詞的な作品となると思う。芝居、アクションともに吉成曜リスペクトを強く感じた。アクションの、特にエフェクト作画はweb系リスペクトも大きく、終始見ていてめちゃめちゃ気持ち良かった。ニニーちゃんものえるちゃんも可愛いんですが、バルゴがすごくジャンプらしい良いキャラしてるなあとアニメ版で改めて思いました。

 

『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』

良作。無限はかっこいいけどポンコツかわいい。小黒はざーさんかわいい。若水はあいなまかわいい。哪吒はいのりちゃんかわいい。風息は最高に自分の正義を貫いていてひたすら櫻井かっこいい。憐憫の情を抱かざるを得ないけど、それでもかっこいい。この感覚はシャンバラを観るときに似ている。

 

『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン

良作。幾つかのストーリーラインが並行して動くのでまとまりがいまいち悪く、少しわかりにくい部分もあるが、ヴァイオレットちゃん離れできないホッジンズにスポットが当たっていたのがとても良かった。

 

『少女☆歌劇 レヴュー・スタァライト ロンド・ロンド・ロンド』

良作。新規追加パートの幕間ばなながいちいちめちゃめちゃかっこいい。トップをねらえパロディ演出の追加など、総集編ながら見所があまりにも多い。

 

『魔女見習いをさがして』

良作。激しいアクションとか目立つ芝居とか美麗な背景美術とかはないんだけど、ただただ"おジャ魔女どれみを多かれ少なかれ見て育ってきた今の20代の等身大"が描かれてて、ああ、良いな。。。というすっきりした後味が残る。れいかちゃんがほんまに可愛い。

 

メイドインアビス 深き魂の黎明』

良作。マルルクちゃんの日常は実質ゆゆ式2期!!!!!!!!!!!!!

 

ACCA13区監察課 Regards』

良作。色がぜんぶ良くて、斎藤圭一郎~~~って感じ。

 

 

2020年のアニメ10...15選(PV、CMなど)

ほんとねー、絞れんて。今確実にTVシリーズよりMVとかCMのアニメの方が注目されてるもん。

僕はどちらかと言えばやっぱり超短編よりある程度の長編の方が好きですけどね......それでも良いものは沢山あります。

 

日本エステティック業協会(AEA)コンセプトムービー「十年分の私へ」

https://www.youtube.com/watch?v=CMD8ovdH2bk

監督・脚本・キャラクターデザイン・演出・総作画監督美術監督・動画検査・編集をloundrawが担当。LINEノベル イメージムービー「未来想像記」以来の新作です。

本作では意図的に前半部分の発色を抑えているそうで、これまでの作品のような、或いは新海作品のような絢爛豪華な印象は受けません。むしろ地味な画面でも空気感の演出で勝負していこうという意気込みが見えました。"ポスト新海誠の一人"であったloundrawがアイデンティティを確立した瞬間と思います。

上田麗奈高橋李依の演技も非常に効果的にハマっていて、何回見ても大好きな一作。

 

Pokémon Special Music Video 「GOTCHA!」

https://www.youtube.com/watch?v=BoZ0Zwab6Oc

言わずと知れた傑作。安田パート、おだしパート、ゆたぽんパート、杉田パート、と好きな部分を挙げていったら本当にキリが無いですが、やはり全ては林祐己と松本理恵の圧倒的なセンスと尽力があってこそです。

こういったMVはYouTubeで公開される性質上フィジカルでアーカイブ化されることは滅多に無いのですが、今回は時期が良かったみたいで本当に助かりました。

 

まふまふ『それを愛と呼ぶだけ』MV

https://www.youtube.com/watch?v=bMwLJHWP1UE

監督はちな。4:3ならではの空気感と、フリクリを意識した色彩設計が最高でしたね。

2020年に、ちなcが4:3で、山本健がシネスコでフィルムを撮ったという事実は良い指標になりそうなので少し考えてみる。

理詰めで演出すると写実的になるから、速度の出易い4:3と相性が良い。感覚で演出すると抽象的になるから、情緒の出易いシネスコと相性が良い。

普段描く絵でも、ちなcは現実の温度感の再現に努める。対して山本健はファンタジー寄り。他の若手演出だと、例えば温泉は前者でゴハクユは後者。これも普段の絵の性質とリンクする。
榎戸は後者、ならは前者、バヒは前者、みそは前者、そして五十嵐海は中間。だから『SSSS.GRIDMAN』#9のような現実と夢の交差が描ける。たぶん。

 

NESCAFÉ®帶畀你,2 分鐘嘅真正醒神

https://www.youtube.com/watch?v=YZBTgFh33v0

ネスカフェ香港のCM。作画監督とキャラデの一部を新井陽次郎が担当。メインのキャラデはななうえ。

新井陽次郎の色がとても強く出ている、温かくて爽快感に溢れる映像です。『ペンギン・ハイウェイ』が好きな人には絶対に勧めたい一作。りょーちもパートがあまりにも上手すぎる。

 

『PUPARIA』

https://www.youtube.com/watch?v=CWnqX41JHuM

3月のライオン セカンドシーズン』第26話などで知られるアニメーター・玉川真吾の自主制作。

センスだけで描いてるように見えて、とんでもない物量を一人でこなす努力の天才です。今年最も有機的なアニメーションだったと思う。

 

Eve『約束』MV

https://www.youtube.com/watch?v=PTDYDxWvPHo

監督は山本健。同氏の独特のキャラクターデザインが全面に出ているのが印象的でした。絵も動きも天性の感性で描いていて癖が強いので、TVシリーズだとあまり表に出てきにくい才能なんですよね。今年だとFGOバビロニア作監回......いやあれは1クール目だから去年か。もっと見たいんだが。

ちなの4:3と山本健のシネスコに関する考えは上述のとおり。

 

Eve『白銀』MV

https://www.youtube.com/watch?v=X8TCB9s1kRs

りょーちもは神。

シンプルにEveで一番好きな曲がこの曲だからってのもありますが、りょーちもは神。

 

『薄明の翼』第7話「空」

https://www.youtube.com/watch?v=CoKUvLrPluU

yamaは神。

どの話数も好きですが、yamaをして「思わず泣いてしまうほど感動した」と言わしめたweilin zhangパートのある第7話がやっぱり印象的ですね。往年の磯光雄を思わせるような重量感のあるシーンで、僕も4話のBahiパートと同じくらい好きです。

 

 

 

 

Fate/Grand Order」配信5周年記念アニメーションPV

https://www.youtube.com/watch?v=AGepNnFXd3c

ひとつひとつの絵が凄く生き生きとしていて良い。蛯名秀和~~~~っ

ネロや北斎が出てくるカットがみんな楽しそうで一番好き。

 

Fate/Requiem×Fate/Grand Orderコラボレーションイベント「『Fate/Requiem』盤上遊戯黙示録」TVCM

https://www.youtube.com/watch?v=0qz8dC-tszw

病的に線が細くて色がめちゃくちゃ良い。

次世代のアニメの象徴のような作品だと思います。

 

 

「物語を君へ。-不可解弐Q1 エンディングアニメーション-」

https://www.youtube.com/watch?v=xwru2u-kyIE

バーチャルシンガー・花譜のPV。制作はloundraw率いるFLAT STUDIO。

エフェクトがゴシャゴシャしてて何が起こってるか分かんないけどかっこいい。その合間に挟まるカラオケとかの日常的なシーンがなんか可愛い。

こういうのをテレビや映画でやってほしいんです。

 

あらゐけいいち短編03「絵描きうた」

https://www.youtube.com/watch?v=WMlpQTJtdkI

あらゐけいいちのこういった発想力と実行力は本当に尽きることがないですね。

彼を創作の大海に誘ってくれた大沖と見富拓哉は本当に偉大です(こないだのコミティアで頒布された合同誌『僕たちのコミティア』参照)。 

 

『電脳天使ジブリール』オープニング映像

https://www.youtube.com/watch?v=nHoRnqYtapE

渡辺明夫一人原画。1:05辺りが一番顕著ですが、これでも前のジブリールシリーズOPと比べるとかなり渡辺明夫感は抑え目になってます。

曲も良くて好き。

 

神聖かまってちゃん『るるちゃんの自殺配信』 アニメーションMV

https://www.youtube.com/watch?v=hc0ZDaAZQT0

Rabbit Machineによる、神聖かまってちゃん初のアニメMV。

Rabbit Machineらしさに溢れながらもひとつの絵柄に縛られず、外連味のあってカッコよくて面白いMVに仕上がってます。

 

綾波レイ、はじめての口紅』

https://www.youtube.com/watch?v=Wn0bGlY1RcE

米山舞一人原画。CMのコンセプトはよくわからないけど、とにかく絵が上手い。

 

 

あと一息。。。

2020年の漫画10選

阿部共実『潮が舞い子が舞い』

羽海野チカ3月のライオン

沙村広明波よ聞いてくれ

鬼頭莫宏『のボルダ』

藤本タツキチェンソーマン』

平庫ワカ『マイ・ブロークン・マリコ

宇崎うそ『ななどなどなど』

こかむも『ぬるめた』

つくみず『シメジシミュレーション』

久米田康治かくしごと

 

今年も『潮が舞い子が舞い』が一番良かったなあ。

3月のライオン』、『波よ聞いてくれ』は新刊が出るたびに面白すぎてビビります。

鬼頭莫宏は脊柱管狭窄症の影響でまだ月刊連載レベルの量産は厳しいみたいですが、相変わらず個性とアイデアの塊ですね。1話の引きが巧すぎる。畳み方もめちゃめちゃ上手いのですが。

チェンソーマンについては何を喋ってもネタバレになるので何も喋りません。

オルタナティブなのだと『ななどなどなど』、『ぬるめた』、『シメジシミュレーション』。ななどは言うて正統派きらら系で、みんな超可愛い。こかむもはまさかのハルタの派生誌(だと僕は思ってます)として来年新創刊されるやつでも連載持つみたいで全く予想がつかず、楽しみです。つくみずは最近メンタルが心配です。

『マイ・ブロークン・マリコ』はフリクリ好きだったら絶対読め。

かくしごと』原作最終回は流石の久米田という感じで、必見です。アニメも綺麗にまとまってはいるのですが、やっぱり原作。

 

2020年の実写映画10...2選

『ドロステのはてで僕ら』

『パラサイト 半地下の家族』

 

今年も色々観たけどこの2本だけ見とけば十分です。.....と思ったけど俺ミッドサマーまだ観てないんだったわ。。。。観て良かったらここに入れます。

ドロステのはてで僕らについては過去に書いた。

映画『ドロステのはてで僕ら』観てきた - ◇

パラサイトは1カット目からレイアウトがめちゃめちゃ決まってるしすげー面白いです。

 

 

以上。

皆さんよいお年を