0303日記 COLORFUL BOX
だからこそ、僕らは世界を描き続ける。続けられる。水島努がそう示してくれたように。
どんなに言葉を尽くしても、日記帳では、ブログでは、掲示板では、SNSでは到底足りないくらいに、この世界は広大で、深遠で。
正確な情報を伝えているはずなのに、過不足無く言葉を選んでいるはずなのに、とてもじゃないけどあの時の色彩が、匂いが、手触りが再現できない。
だからこそ、僕らには魔法の力がある。
履き潰した踵の擦れる音なんてとっくに自覚してる。
それでも君の住む街へと走る。
ふいに降りる奇跡なんて無いと思ってた。
祈りにも似た涙がぽろぽろ零れた。
好きなことと特段好きでもないことを同時に仕事にしているけど、本質的には一緒だ。どっちにしても嫌なことはあるけど、総合的に見て別に嫌いな訳でもない。
結局僕らは働いて、それで暮らしを営んでいく。星を集めながら、虹を編める日を信じながら。
総カット数、いくつなんだろう。日常芝居でも長回しもロングショットもほとんど使わないでぐいぐい絵の力で持ってってたもんな。と思ったら劇中アニメも凄く凝ってたし(岡村天斎が原画で参加してたのには本当に驚いた)、SIVA以外でもミュージカル調や時代劇風のアクション、それからお絵描き教室でさえメリハリとして機能していたのには本当に度肝を抜かれたよ。ケレン味って別に作画だけのものじゃないからな。演出にも脚本にも劇伴にもケレンは宿る。
これをさ、公開3日前とは言えよく完成させたよな、本当に。正直宮本幸裕の記録を超えてくるとは思わなかったよ。みんななかなかこれができないんだ。当たり前のことを当たり前にこなせる人間って驚くほど少なくて、今この瞬間だって裏では幾百もの創作の企画が倒れている真っ最中。
あの信じられないバランスで成り立っている120分の全てに称賛の言葉を与えていたらキリが無さ過ぎるので、遠藤にだけ触れようか。
遠藤、遠藤な。
要するに遠藤みたいなタイプって、女の子が放っておかないんだよな。遠藤の同居人の健気な姿勢ばかりに目が行きがちなんだけど、これは瀬川だってそう。瀬川が遠藤の蒸発を無視し続けている訳がなくて、それは勿論「君、誰よりアニメ好きでしょ」ってことでもあるんだけど、或いはそれ以上の感情も、とすら思う。
ことアニメにかける情熱は人一倍で、それだけの才能も持ち合わせていて、でもどうしようもないくらいに不器用な性格で、でも周りの人たちは無理にでも殻をこじ開けようとしてくれて、不器用ながらもそれに応えることを選択する。
おこがまし過ぎるのは承知の上だけど、遠藤のそういう部分に多少なりとも自身を重ねてこの作品を観てしまうことを許してはくれないだろうか。
ゲーセンのシーンあるじゃん。ブルーレイ買ったら俺が一番繰り返し見るのはあれだろうな。
劇場版『SHIROBAKO』、最高のアニメでした。
あと何回観に行こうかな。